笛吹童子【第三部:満月城の凱歌】
B級SF映画大作戦に笛吹童子を追加しました。
幼い頃に生き別れた妹、胡蝶尼とついに出会う霧之小次郎。しかし、胡蝶尼は兄を名乗る人物の正体を、悪名高い大江山の妖術使いと知るや兄を拒絶する。鬼呼ばわりされた小次郎は、可愛さ余って憎さ百倍、逃げる胡蝶尼をつり橋ごと谷底に落としてしまう。
一方、黒髪山を逃れた斑鳩隼人と桔梗尼は、されこうべの面を被った男に出会う。
されこうべの面を被った男は萩丸であった。満月城の抜け道を知る萩丸は、やすやすと城を抜け出したが、赤柿玄蕃の手下に、また、家来の上月右門に妖怪として間違われて追われる身であった。玄蕃の手下に追いつかれ、斑鳩隼人が応戦する中、萩丸は上月右門に追いつかれ、がけに突き落とされてしまう。
斑鳩隼人から委細を聞き、主君をあやめてしまった事を知る右門。
がけ下の川原にて、胡蝶尼はされこうべの面が取れた萩丸と出会う。
萩丸は白蓮尼に助けられる。
白蓮尼は赤柿玄蕃に倒された石見判官の娘。
白蓮尼の元、白鳥党が結成され、野武士から主権を取り戻す機運が高まっていた。
邦題:笛吹童子
監督:萩原遼
1954東映(昭和29年)
目を開いたまま気を失っているカラカサお化け、かわいい(笑)
今を去る事、四捨五入して六十年の昔、ラジオドラマとして大ヒットしたらしい笛吹童子の映画三部作です。
さて、ウィキペディアによると1953にラジオドラマとして一年、1954に映画化三部作、1960年、1972年テレビドラマ、1977年に人形劇と大人気であった事がわかります。ラジオドラマで詳細に語られた直後の映画なので、その当時の人は、物語が多少はしょられていてもわかるのでしょうが、今時分に見るとわかりにくい事。宇宙戦艦ヤマトの映画がはしょられていても、全部見た気になったようなそんな感じなのでしょう。
違和感を持つのは主君との関係というか封建制度。いまや時代劇でも、頭が高いと、ハハーッと頭を下げるのは水戸黄門くらいでしか残っていません。胡蝶尼の身分がわかったからといって子供まで頭を下げさせるのは、映画公開当時はどうだったかわかりませんが、今となっては違和感があります。上月左源太の母が、主君のお家再興のために骨を折れというのは、家ごと終身雇用の時代ならではの事で、個人の終身雇用さえ崩れ、短期雇用の派遣社会に変わった現代、これを受け入れて鑑賞する人はほとんど皆無でありましょう。
格差社会の今、力でのし上がった野武士の首領、赤柿玄蕃がまっとうな気がしてしまうのです。
単純明快なハリウッド映画に慣れてしまったためか、主人公がはっきりしない話でもあります。萩丸も、主題になっている笛吹童子こと菊丸も映画では活躍らしい活躍がありません。おそらく、男の子目線で、霧之小次郎、大人目線で上月右門、斑鳩隼人、女の子目線で胡蝶尼、女性目線で桔梗の話なのではとか思います。
ハリウッド風にするなら、天下を乱す妖術使いの霧之小次郎と妖術を打ち消す力のある笛吹童子との戦いになるだろうと思うのです。
第一話にて菊丸が武士を捨てているのに、結末はいかがなものかと。そのせいか、菊丸は後に拝一刀を名乗り、公儀介錯人を経て、息子、大五郎と冥府魔道へすすむのでした。(違
空想科学辞典に以下の語句を追加しました。
【白蓮尼】『人名』(びゃくれんに)
赤柿玄蕃に滅ぼされた石見判官(いわみはんがん)のご息女。
赤柿玄蕃に刃向かう者を集め、白鳥党を結成、主権を取り戻そうとしている。
【白鳥党】『団体』(はくちょうとう)
石見判官の娘、白蓮尼を中心に集まり、応仁の大乱後、勢力を拡大した野武士の赤柿玄蕃を倒そうとしている者たちが集まった集団。
丹波萩丸が合流する。
【猿酒】『酒類』(さるさけ)
打身に良く効くという酒。
【杢輔】『人名』(もくすけ)
赤柿玄蕃から胡蝶尼を助けた森の狩人。
白鳥党に属し、最先端の鉄砲を持っている。
胡蝶尼の乳母である藤江の息子。
【鉄砲】『武器』(てっぽう)
応仁の乱後の日本ではまだ使われていない武器。
野武士どもを瞬く間に木っ端微塵にできる。
白鳥党の標準装備として支給される。
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